僕はチキンをやめようと思う

このままでは何者にもなれないし何も楽しいことなんて見つからないと気付いた時、チキンをやめることを決意した

セブ島の美女、だいたい男の娘

はっきりいって、男の娘はフィリピンでは普通の女の子より可愛い。

 

セブ島で有名なクラブの一つに icon がある。セブ島に留学している僕は毎週末そこへ通い、もはや慣れてしまい退屈となった授業のストレスを解消するため、叫び、踊り、女の子に話しかけまくる。

 

クラブのフロアで踊り始めてすぐ、真っ黒のドレスを着た美女が寄ってきた。

そのまま目の前で腰をクネクネ、お尻をマイディックにすりすり、ああもうたまらん。

"I'm hot now . Because of you "すると彼女はもっと責め立ててくる。こちらの手を取り自分の体に回して体を密着させると、甘いバニラの香りがした。12時間経った今でもその香りは鼻の奥の方に残っているみたい。

 

そのときは彼女が男だとはしらず、何度もキスをした。

彼女は日本語を知っていて

「チンチン たってる!」と耳元でささやく。

おれはその度に爆笑し、腰を振ってそれに答える。

 

クラブの中だけが楽しい場所で、非日常で。

本当はもっといろいろなことをしたいのに、街の治安に少しびびっていて。それでもこの退屈から抜け出そうとしている。

日本に帰ったらクラブに行きたい。

 

最もほしいものってなんやねん

意味のわからない格好をして理解不能なものを持っていて前衛的な服装をした女の子と写真家と名乗るカメラを持った女の子がいた。

 

「それなんですか?」

 

「ちりめんじゃこのベッドです…」

真っ赤な台の上に赤い糸を巻かれた五円玉とちりめんじゃこが一匹はいったベッドが置いてあった…いや意味わかんないだろうけどマジで。

 

どうやら彼女は普通の中の一人、one of themになりたくなくて内側から巻き起こる感情をそのような形で表現せずにはいられなかったらしい。

 

ちょうどコインロッカー・ベイビーズっていう少年たちの強すぎるエネルギーが破壊に向かっていく小説を読んだ直後だったので、興奮して彼女に教えてあげた。

 

いつかそのエネルギーをうまく消化できる何か、生産的な何かにつながってほしいと勝手に思った。 

 

タバコを吸っていたら、カメラの子が

「写真を撮らせてください」なんて言ってきたから承諾した。

 

ふと気になって

「どうして写真を撮ってるんですか?」と聞くと

 

「人間を知りたいからです」と言ったので

 

「じゃあそのカメラを通して俺はどんな人間に見えますか?」と聞いてみた。

 

「まだしっかり話していないからわからないです」という答えが返ってきて、頭の上に?が浮かんだ。

 

直接話しかけたほうがいいのでは?と聞いてみると、カメラというツールを通して初めて話しかけることができるのだと言っていた。

 

だんだんイラついてきていた。自分の目が冷たくなっている気がする。

人を知りたいと言いながら一度も目を合わせない臆病さもカメラをただ人と繋がるための道具にしているところも自分が責められているとわかるとすぐ逃げ出すところも気に食わなかった。

 

写真家と名乗るからには目的はいい写真を撮ることじゃないとダメじゃないの?芸術家感ないなぁ〜

 

「インタビューの機材買ったほうが良かったんじゃないですか?」という皮肉ったさよならをしてきた。

 

自分が最も欲しいものは何かわかっていない奴は、欲しいものを手に入れることが絶対にできない、キクはいつもそう考えている。

 

というよんだばかりの台詞が頭に浮かんだ。

自分のほしいものなんてよくわかっていない。

 

そこで気づいた。

彼女たちも自分が欲しいものが何かわかっておらず、それにもかかわらずとにかく何かをやらずにはいられない。

俺と同じだったんだ…

ごめんよ!

 

 

 

 

 

 

have a nice day

コインロッカー・ベイビーズをもう一度読みたい気分だった。

以前読んだときは体の内側から得体の知れないエネルギーがでてきて、それをどう扱えばいいのかわからなかった。それくらいエネルギーに溢れた作品であることは間違いない。

 

なのに、没頭できずただ文字を追っているだけの自分に気がついて、机の上に放り投げた。タバコに火をつけて上を向いて目を閉じた。

 

再び目を開けると、講談社文庫の黄色の上に銀色と緑を混ぜたようなハエが止まっていた。

タバコを押し当てると、どこかへ飛んで行った。

 

頭にあるのは、茶色と青と緑が混ざったような色の瞳を持つ女の子だった。その瞳を見たときには、引き込まれるような瞳ってこういうことなんだと初めて実感した

 

わかってる、書を捨てよ街へ出ようということだろう。

 

決意や覚悟はいざという時、その瞬間に役に立たないことを知っているのでタバコをもう一本吸ってから行こうというもう一人の自分の言い分に従う気持ちにはなれなかった。

 

無視された。どうしてそんなに脚が細いのか聞きたかっただけなのに。

 

無視された。無視された。無視された。無視された。

 

今日はダメだ…そう思って帰ろうとしたけど10人に話しかけないで帰るのは自分を許せない気がした。

 

自分のルールを安易に一度破れば一生破り続け、その先にはクソみたいな人生がお待ちかねという未来が見えた。

 

このまま帰るわけにはいかない。

 

声をかけては無視される。

そもそも日曜日の渋谷は二人組ばかりだし、二人組に声をかけるのは一人に声をかける以上に怖い。うまく話せる自信がないのだ。

 

思い切って二人組へ。

「何でそんな怖い顔して歩いてるの?」

 

「そう?…無だった」

 

うまく話しかけられたと思ったら中二?!誰かに殺される気がした。すぐに離れた。

最近の中学生はとんでもねえな。聞いてみたら案の定、神奈川県の人だった。

 

向かってくる女の子と目が合った。

「迷ってるの?」

 

「うん…」

 

「えっ?!携帯は?」

 

「忘れた…」

よくわからないけどアホの子らしい。

でも、渋谷駅まで連れて行く間手を繋いでくれた。

 

無事渋谷駅に送り届けた後も、勇気を出したが結局全員無視された。

 

世の中怖すぎる…でもこの痛みがなければ先には進めない気がするのも確か。一生このままでいることになるという危機感がある。

 

うまくいく時とうまくいかない時、それは相手の問題よりも自分自身の問題のような気がする。

 

人を使って、自分自身と向き合っているだけなのかもしれない。この自傷行為のさきに何があるのか気になって仕方がない。

 

でももう土日は渋谷いかね!

 

 

 

10人声かけるまで帰れま10 (2)

俺が勝手に神と崇めるしょうもない話を30分も聴いてくれた彼女と別れたあと、自信に満ちた俺はどこへ行ったか。もちろんセンター街

 

そもそもまだ、3人だし。

センター街って人めちゃ多いから周りの目気にしちゃうんよね。

つまり、周りの目 VS 俺

結局のところ、これに勝たなければこの帰れま10には意味がない。そんなことわかってるけどくそこえー。あーこえー。

 

しかし今の俺は自信満々。

 

イヤフォンをつけて歩いてきた金髪で韓国っぽい格好の女の子に話しかけた。

 

「ダンスやってんの〜?」

服装と髪型的に判断した単なる当てずっぽうだったが、当たったみたいで

「え!何でわかるの?」と言いつつイヤフォンを外してくれた。

まあ結局、勝手についてきてるだけでしょって言われて連絡先はもらえなかったけど…

 

次、通りすがりのまぶたのアイシャドウが紫で色黒な普段なら絶対に声をかけられない美人に声をかけた。

「今どこ向かってるの?」

結構いい声でいけた。センター街なのに周りの目を気にしていない。集中してきた〜!とか思っていると

「What 〜〜〜⁈」

外人だった…

「You are beautiful!」笑顔で言うと

 

「Yes.I know!」と答えてきた。

出身地はカリフォルニアらしい。

 

「I want to talk woman!」文法とかこんなんだったっけな〜とか思いながらいうと

 

何と言っていたかはわからないが、他にたくさんいるでしょ!がんばりな!みたいなことを言われていた。笑顔でサヨナラした。

 

調子が良くなってきて一気に10人いった。

やっと帰れる。

だけど、なんか消化不良。

 

11人目、うまく話せず。

 

12人目、前から歩いてきたベージュのカーディガンをきた女の子。めっちゃ服が可愛い…思わず

「めっちゃ服可愛いですね」と口をついて出てしまった。

 

「そうですか?」

 

「うん。俺の大学、田舎の国立なんだけどこんな可愛い服きたひとおらん…」

しょうもなくて大したことのない学歴を披瀝しつつ相手の服装を褒める、最善の一手!

 

相手はまんざらでもなさそうだ。

とにかく5分くらい歩いて話していたが、彼女が読書がすきらしい。

 

読書とか完全に俺のフィールドや。とか思いながら

「本屋いこー!」とテキトーな感じを装いつつ誘ってみると、

 

「いいよー」

え?いってくれんの?何回も聞き返してしもた

 

本屋に着くと、水を得た魚。好きな本をプレゼンしてよとか言われて、

 

「えっ?!いいの?」

とか喜びつつなんども読み返した本を3冊くらい、あらすじとどこの部分がどういう心境の俺に刺さったのかを説明してたら30分くらい経ってた。

 

彼女はまだ聴いてくれそうだったがネタがなくなるので、服を見に行くことにした。

 

服とか見てたら、もっと喋りたくなった。

彼女は六本木に行くらしいので、

「歩いて行こうよ」とダメ元で聴いてみた。

 

「いいよー。歩くといったからには歩くからね?」

いいらしい。

 

ここからクソ暑い中、1時間半もの旅が始まった。

 

途中、話が途切れることはなかった。

あるとき、シガーバーの話からタバコの話になって

 

「タバコ吸うの?」と彼女が聴いてきた。

 

少しためらって

「吸うよ」と言うと

 

「奇遇だね。私も」

この奇遇だねという言葉。気取ってる感じが面白くてツボった。

 

六本木で喫煙所に入る。

女の子と喫煙所に入ったのは初めてだった。

タバコを吸う姿…かっけえじゃん。

 

でももっといいもの見れた。

彼女の大きく開いた胸元を必要もなく覗き込んでみると、谷間に汗をかいていた。

 

谷間に、汗を、かいていた。

思わず

「えっちだ…」と口からため息のような言葉がこぼれてしまう。

 

それをきいて、彼女は驚いたように目を少し見開いたけれど、

「それでね〜」と話を再開した。

 

俺はこの時に見た光景を忘れてはいけないと思った。

 

どんな緊張をしてでも、対価としてはこれだけで十分すぎるほどだった。

てかそもそも、俺は何も失っていないのだから得しかしてねえや。

 

うまく話せた人は12人のうち4人くらいしかいなかったけれど、これだけでもたくさんのものを得た。

 

 

帰りの電車では、ホクホクしながら

Linkin Park の Battle Symphonyを聴きながら帰った。この歌を聴くと、夕焼けの曲並みに帰りたくなって気持ちが落ち着く気がする。

 

つぎはなにしよ〜

 

 

10人声かけられるまで帰れま10 (1)

タイトルの通りだ。午後3時渋谷、おれは10人に声をかけるまで帰れま10というルールを課した。

 

本当は100人とかイキたかったけどチキった。

 

最近中学生の頃をよく思い出すけど、チキったら負けみたいなゲームを常にやっていた気がする。おれはそれにどうしても負けたくなかったから、意味もわからず廊下でハンドスプリングとかやってみたりしてたんだろうな…

 

まあとにかく俺は10人に声をかけるまで帰らない、帰れない。

 

とりあえずハチ公前。こうしてみると、他人というのはどうしてこうも遠くにいるのだろう。

声をかけようという目線で見る他人はまさに聖域、普通にキツイ。

 

帰りたい。

 

「とりあえず今日は秋葉原にでも行って漫画なり本でも読めば、明日はいけるかな」

 

この脳みそをぶっ叩くために頭を思いっきり殴ったけど、アタマが痛いだけだった。

 

とりあえず行くか。ここでなにもできなければ一生なにもできねえ普通にチキン。死ねばいいってことになる。

 

「すいません」

 

無視された…声も小さかったし相手の目にはただの不審者に映っただろう。

 

一人目にして心が折れた。早すぎるように感じる?いややればわかる。やってる人もわかるだろう。

 

歩き回る。センター街、横道、センター街、本屋、4時半までに声かけられなかったら死ぬとか思いつついつのまにか4時40分になってた。(早く死ねチキン)

 

だめだまじで…こんなカス、死ぬしかない。

(いつも本ばっかり読んでるくせにこういう時は「カス」と「死ね」しか出てこないウケる)

 

気を取り直した。集中力がたんねぇ。俺は10時間は飲まず食わずで本読める集中力があると自分で思っていたのに。こんなの集中力さえあれば周りも気にしないし、普通に会話もできるやろ。 

ろくに声もかけられないクセに楽観的に考える。ほんとのほんとにヤバイ。俺はこのままじゃヤバイ。危機感に追い立てられる。

当然だ。自分ルールを守らなければ死ぬ。

(死んだように生きるという比喩だけど)

 

よしいくぞ!一応、気を取り直した

 

ほとんど投げやりに「こんにちは」

何と芸がないのだろうと思っていたら無視された。

 

ハチ公前に座る。

 

10分間くらいどうやって自殺しようか考えた。

ふと対面に座る女の人が目に留まった。

髪は長くて黒い。前髪を上げている例のエロい髪型で年上っぽい。

携帯もいじらず、ただぼんやりとしていて待ち合わせ風ではないのだ。

何人の女の人を見てきたと思ってる。今日だけで渋谷を何周してると思っているんだ。そんなのわかる、ここがチャンスなんだ!

 

ああわかった…神だ。神がここで声をかけろと言っている。ピンときた俺はすでに歩き出していた。

 

隣りに座る。

 

「俺の話を聞いてください」

 

神に懺悔する気分で言った。

そしてどうも耳を傾けてくれている感じがする。

 

「俺にはやりたいことがあるんです。でもチキってしまって全然できません…死んだほうがいいですか?」

 

「やりたいことってどんなことですか」

 

今日、自分に課した意味のわからないルールを説明して、そのルールを定めるに至った過程を説明した。相手は神なのだ。隠し事はできない。一通り聴き終えたあと彼女はこう言った。

 

「やればいいじゃないですか」

 

一言。そのあと30ぷんくらい話していたが、どうやら彼女は27歳で広島から仕事で東京に来たらしい。

それにしてもあのひとこと。何と痺れる。

ああそうだよね難しいよね。なんていう同調を求めていないのは神にもご理解いただけていたのだ!

 

ヒッチハイクで広島に行ったらご飯を食べてくれる。という約束をしてラインを交換してさよならした。

 

以降 パート2に続く

うまく話せた俺は自信を持てたが、それがいつまで続いたのか。

ぜひ次も読んで!

鈍感な彼女、敏感になりたいおれ

目の前に座っていた。足を組み携帯の画面を見つめているせいで黒髪のショートカットが影を作り顔は見えないが、紅く塗られた唇が目を引いた。

 

地方大学らしく地味で平凡な学生の中で、彼女のショートカットとツルツルとした茶色のロングスカートに惹かれた。

 

呼吸を整える。今行かなければ一生何もできない。いつもの言葉を何度か唱え

 

「院生ですか?」

 

自然に話しかけられた。彼女の雰囲気から院生か留学かをしている、とにかく四年生の大学をそのまま四年で終えるような人には見えなかったが、当たっていた。

 

しばらく会話を続ける。また今度話してくれませんかということで、連絡先を聞いた。

 

後日、カフェで話した。

 

彼女の人に合わせがちな態度や不自然な眉の動かし方、常に机の上のものを触っている姿をなんとなく見ていた。彼女が人と深く付き合うことに魅力を感じてないということに気がつくにつれ、彼女に対して興味がなくなっていくのを感じた。

 

自分の興味がどこにあるのかわからない。

 

特定の人に対して興味があるのだろうか。

 

話したい気持ちはあるのに、どんなことを話したらいいのかわからない。

 

自分の気持ちに心から共感してもらえる人を探しているのではないか。

 

心を開き、彼女のような人物の心の隙間に入れる技量のないことに気づき、落胆した。

 

人との会話に敏感に。

 

周りは2人、なぜ1人?孤独とのお付き合い

先日、1年付き合っていた彼女と別れた。

 

元から根本的なところが自分と合っていない事には気づいていて、それでも付き合うというのはそんな違いを理解して尊重し合うことだと思っていたから一年続いていた。

でもとうとう「ムリだ。このままではおれは楽しく生きれない」そう思った。

 

今日は花火大会がある。周りにはカップルばかり、「このカップルは本気で付き合っているのか?価値観の違いを分かり合えているのか?」

そんなことを考えながら横目に見る。

 

孤独だ

 

今までのLINEを遡っては誰かに連絡しようとする。そんなことをしたら別れた意味がない。孤独を抑えて、自分と向き合う。

 

理想の自分に近づくためには、こんなところで自分に妥協できない。

 

新しい人と繋がらなくてはならない。どうやったら他人と心の底から、本心から繋がれるのか。

 

アブアブの前に立っていた女の人。ギャルメイク、目が大きくて可愛い。

 

こんな人に話しかけなくては、おれに先はない。近づいていく。ドキドキしてきて、彼女の周りがぼやける。

 

やっぱやめよう。こんなのムリに決まってる。

そう考えてアブアブを通り過ぎた。

 

ドキドキは収まった。代わりに、心の中の自分が悪態を吐く

「ビビってるのか?そんなビビリが何かを成せると思っているのか?ここでできなきゃ一生できないぞ」

 

そうだビビるな。ダメ元だ。

 

Uターンしてもう一度近づく。また心拍数が上がる。こわい。なんと言われるのだろう。

 

気づけば目の前に彼女がいた。

 

「こんにちは。友達を待っているんですか?」

 

彼女はうなずく。


話しかけた瞬間こちらを向いていたのに、こちらの顔を見た瞬間に興味を失った。おれは怖くなって、しどろもどろになりながら「あの…あなたのことを知りたいんです」
言い切らないうちに、「大丈夫です」そう言われた。

おれは歯切れ悪く、神妙で、とうてい仲良くなれるような雰囲気ではなかっただろう。

 

でもなぜかはわからないが心の中はすっきりしていて、足早にその場を去った。

 

まだ当分はうまく声をかけられないだろう。

 

理想の自分はまだ遠い。