僕はチキンをやめようと思う

このままでは何者にもなれないし何も楽しいことなんて見つからないと気付いた時、チキンをやめることを決意した

have a nice day

コインロッカー・ベイビーズをもう一度読みたい気分だった。

以前読んだときは体の内側から得体の知れないエネルギーがでてきて、それをどう扱えばいいのかわからなかった。それくらいエネルギーに溢れた作品であることは間違いない。

 

なのに、没頭できずただ文字を追っているだけの自分に気がついて、机の上に放り投げた。タバコに火をつけて上を向いて目を閉じた。

 

再び目を開けると、講談社文庫の黄色の上に銀色と緑を混ぜたようなハエが止まっていた。

タバコを押し当てると、どこかへ飛んで行った。

 

頭にあるのは、茶色と青と緑が混ざったような色の瞳を持つ女の子だった。その瞳を見たときには、引き込まれるような瞳ってこういうことなんだと初めて実感した

 

わかってる、書を捨てよ街へ出ようということだろう。

 

決意や覚悟はいざという時、その瞬間に役に立たないことを知っているのでタバコをもう一本吸ってから行こうというもう一人の自分の言い分に従う気持ちにはなれなかった。

 

無視された。どうしてそんなに脚が細いのか聞きたかっただけなのに。

 

無視された。無視された。無視された。無視された。

 

今日はダメだ…そう思って帰ろうとしたけど10人に話しかけないで帰るのは自分を許せない気がした。

 

自分のルールを安易に一度破れば一生破り続け、その先にはクソみたいな人生がお待ちかねという未来が見えた。

 

このまま帰るわけにはいかない。

 

声をかけては無視される。

そもそも日曜日の渋谷は二人組ばかりだし、二人組に声をかけるのは一人に声をかける以上に怖い。うまく話せる自信がないのだ。

 

思い切って二人組へ。

「何でそんな怖い顔して歩いてるの?」

 

「そう?…無だった」

 

うまく話しかけられたと思ったら中二?!誰かに殺される気がした。すぐに離れた。

最近の中学生はとんでもねえな。聞いてみたら案の定、神奈川県の人だった。

 

向かってくる女の子と目が合った。

「迷ってるの?」

 

「うん…」

 

「えっ?!携帯は?」

 

「忘れた…」

よくわからないけどアホの子らしい。

でも、渋谷駅まで連れて行く間手を繋いでくれた。

 

無事渋谷駅に送り届けた後も、勇気を出したが結局全員無視された。

 

世の中怖すぎる…でもこの痛みがなければ先には進めない気がするのも確か。一生このままでいることになるという危機感がある。

 

うまくいく時とうまくいかない時、それは相手の問題よりも自分自身の問題のような気がする。

 

人を使って、自分自身と向き合っているだけなのかもしれない。この自傷行為のさきに何があるのか気になって仕方がない。

 

でももう土日は渋谷いかね!